がん最先端治療と正しい知識啓発のための患者さん向けテレビ朝日ライブシンポジウム
下記ホームページにアクセスの上、ご視聴ください。 事前登録の必要はございません。どなたでもご視聴いただけます。
登壇者へのご質問がありましたら、下記フォームよりご登録ください。 ライブシンポジウムの中でご紹介いたします。
肝臓がんは、まだ遺伝子異常に基づく薬剤の開発があまり進んでいません。遺伝子パネル検査も積極的に取り組まれておらず、なかなかTumor agnosticな研究が肝臓がんから発信されることはないかもしれません。むしろ、他のがん種で有望な薬剤が肝臓がんに取り込まれることの方が多いかと思います。今後の抗癌剤の開発の方向性ですが、本庶先生がノーベル賞を受賞されたオプジーボに代表される免疫チェックポイント阻害剤と言われる免疫療法の開発が中心に行われています。現在、免疫療法と血管新生を阻害する薬剤などの併用療法で複合免疫療法と言われておりますが、複合免疫療法での取り組みが多数行われており、期待されております。
乳がんの標準治療は、乳がんの「サブタイプ」ごとに異なっています。乳がんの場合、保険診療として行うことができる薬剤は「標準治療」以外にもありますので、治療を決定する際には「薬があるので使用する」のではなく、治療の目標が重要です。病気とうまく付き合っていくためには、薬物療法を行わずに緩和医療に専念することも重要な選択肢です。これらを踏まえたうえで、ほかに積極的治療の選択肢を考えると、新薬の治療開発である「治験」に参加することも一つの方法です。それぞれの治験ごとに参加できる基準がありますので、治験を行っている病院に確認する必要があります。治験は通常「未承認」の薬剤を使用するため、治療の効果や副作用もまだよくわかっていない可能性もあります。また、乳がんの遺伝子変化を検査して、適合する治療薬がないかどうか検討する「がんゲノムプロファイリング検査」も検討してもよいかもしれません。現在がんゲノムプロファイリング検査は全国206の施設 (令和2年12月27日現在) で行うことができます。治験を検討される場合も含め、治療の方法をご担当の先生とよく相談されることをお勧めします。
切除可能膵がんに対する重粒子線による治療は、有効性が確立しているわけではなく、臨床研究として行われている段階です。本当に良い治療かどうかはまだ分かりませんが、治療のOptionのひとつになるかもしれません。ただし、重粒子線治療は切除成績を高める目的で行っており、重粒子線治療を行った後に切除を行うことが通常です。したがって、切除は不要になる訳でありません。また、先進医療として行われており、300万強の自己負担が必要になります。
ご質問ありがとうございます。まず、ご主人ががんと診断されご不安なお気持ちをお察しいたします。また、摘出手術、抗がん剤と放射線治療と大変な治療を頑張られたご主人様、サポートをされたご質問者様のご尽力に敬意を表します。ご質問に関してですが、ステージ4でがんを根絶するための治療が行えた場合でも、やはりステージ1-3よりは再発の危険性は低くないと言わざるを得ません。舌がんを含む口腔・咽頭がんの死亡率はデータにもよりますが、全がんの概ね平均ぐらいであり、極端に高いことはございません。舌癌ステージ4であっても、がんを全て摘出でき、摘出手術のあとに抗がん剤と放射線治療を行われた患者様で10年間再発なくお元気で過ごしている患者様達も当院には通院されております。ご主人の経過が順調でありますよう祈念申し上げます。
小腸癌は稀少な癌のため標準治療は定まっていませんので、大腸癌や胃癌の標準治療が行われています。少数例の検討ですが効果はありそうです。最近小腸癌はマイクロサテライト不安定性が高い癌が比較的多めに含まれることが分かってきており、免疫チェックポイント阻害剤が効く可能性が指摘されていますので、保険適応されているマイクロサテライト不安定性検査を受けてみてください。
・食道がんと胃がんの終了後、次の予定はどの部位を計画しているのでしょうか?
→ご質問ありがとうございます。マウスなどによる研究では、様々ながんに対して有効性が報告されています。他がん種への開発に関しては、現時点で公開されているものはないようです。
・光免疫療法は光を照射した部位にのみ効果があるのか、それとも一部位照射をすると、遠隔転移部位(仮に肺に照射した場合に大腸に転移があった場合には一度の照射で肺と大腸にも効果があるなど)にもそのまま効果があるものなのでしょうか?
→ご質問ありがとうございます。光免疫療法は、急激ながんの破壊によって免疫が活性化され、光が照射されていない腫瘍にも有効性を示すことが期待されております。マウスを用いた研究では効果が報告されておりますが、実際の患者様での効果についてはまだ情報は少なく、今後の知見の蓄積が待たれます。
・肺や腹膜など、突然穴が開くと危険な部位への転移がある場合、どの大きさまでなら照射可能などの基準は決まっているのでしょうか?
→ご質問ありがとうございます。現時点で日本で照射の経験がある患部は、頭頸がん(頭頸部および首のリンパ節への再発病変)、食道がん(食道病変)、胃がん(胃病変)です。現在明らかになっている情報からは、肺・腹膜への照射についての基準は確立していないと思われます。
・近赤外線での射程距離となると、ほぼ密着状態での照射になると思いますが、患部が身体の奥や複雑な場所にある場合、内視鏡やダビンチに照射装置を付け、短い射程距離を補助することは可能なのでしょうか?
→ご質問ありがとうございます。内視鏡やダビンチなどとの組み合わせは、今後の重要な課題と思われます。現在行われている食道がんや胃がんに対する治験では、内視鏡を用いながら照射を行う方法を採用しています。
CT検査をはじめとする医療被曝による発がんリスクの増加は100ミリシーベルト以下の被ばくでは実証されていません。1回のCT検査では20ミリシーベルトを超える被曝線量は原則ありません。1回の検査で受けた放射線による細胞の傷害は、通常数日のうちに修復されますので、極端な短い期間内に繰り返し検査を受けない限り細胞の傷害が残って発がんする可能性も極めて低いと考えれます。
現状、cell free DNA/circulating tumor DNAががんゲノム医療において期待されており、SCRUM-japanにおいて、70遺伝子程度を対象とした検査であるGuardant360やFoundationOne Liquidのスクリーニングを行っています。治療の標的となる遺伝子異常が見つかった場合、それらを標的とした治療薬の医師主導治験や企業治験に参加できる可能性があります。リキッドバイオプシーの利点として結果の返却が早い(素早い治療)、低侵襲(繰り返し測定が可能)、がんの全体像を評価できる等が挙げられます。また、最近ではがん術後の再発予測の有用性も検証されており、外科治療が行われる大腸がん患者さんに対し、リキッドバイオプシーによるがん個別化医療の実現を目指すプロジェクト「CIRCULATE-Japan(サーキュレートジャパン)」が進行中です。大腸がん患者さん約2,500名を対象に、患者毎にがん由来の遺伝子異常を同定して、患者さん個々のオリジナル遺伝子パネルを作製し、定期的にその遺伝子異常が存在するか調べます。見えないがんに対してリキッドバイオプシーによる再発リスク評価の臨床的有用性が証明できれば、術後補助化学療法の省略または減弱、再発の早期発見等、より最適な医療の提供が実現します。Circulating Tumor Cellも同様に予後予測因子や治療手標的の同定のため臨床応用されていますが、現在、がん治療・診断におけるリキッドバイオプシーの中心はcell free DNA/circulating tumor DNAと言えます。
年齢で治療方針が決まるわけではありません。合併症(持病)の有無やその程度の方が重要です。標準治療ができる全身状態でしたら若い方と同じように標準治療を行うことをお勧めします。もちろん高齢の程度に合わせて減量(少な目の治療)で行うなど工夫がいることもあります。担当医とご相談ください。
身近な方に癌の患者さんがいると不安になりますよね。お気持ちお察しします。33歳とお若いようですし、ご自身の家族にがん患者さんがたくさんいなければ癌であるリスクはとても低いと思います。ただどうしても不安でしたら、人間ドックでまずは検査されることをお勧めします。そこで異常があれば詳しく調べていただくで良いかと思います。
膵がんの切除後であり、画像上、骨転移も認めており、CA19-9も上昇していることから、再発の診断は、残念ながら間違いないと判断します。フォルフィリノックスによる治療を2回しか施行しておらず、CA19-9が上昇しているからといって効いていないとは判断できず、もう少し継続してみるのも一つの方針かと思います。他の治療として、化学療法を変更することも選択肢にはなります。フォルフィリノックスが奏効していないのであれば、ゲムシタビン+ナブパクリタキセル(アブラキサン®)も選択肢になります。放射線治療に関して、痛みがある場合には除痛効果がありますので、選択肢になります。また、1ヵ所しかない場合には放射線治療だけを行うこともあります。ただし、その後の他部位からの再発率は高いです。免疫療法に関しては、まだ標準治療として確立したものではなく、あくまでも治験などで取り組んでいるところで、推奨できるレベルではない状況です。
アブラキサンによるしびれ(末梢神経障害)に対しては、なかなか良い方法がないのが現状です。患者さんのようにプレガバリン(リリカ®)を対処される患者さんもいますし、デュロキセチン(サインバルタ®)や牛車腎気丸(漢方)で対処することもあります。どれも優れた効果がある訳ではなく、良くなるというよりは、悪くならないようにする治療です。日常生活に支障のない範囲で、できる限りゲムシタビン+ナブパクリタキセル(アブラキサン®)による治療を継続し、日常生活にも支障をきたすようになったら、ナブパクリタキセル(アブラキサン®)を中止して、ゲムシタビン単独での治療に移行するのが通常です。他の化学療法として、フォルフィリノックスなどもありますが、同様に末梢神経障害が出現しやすい治療法です。末梢神経障害に対して、なかなかいい方法がないのが実情です。
検査の結果がすべて判明していないため、治療方針の詳細についてコメントする事は難しいのですが、まずは冷静に現在の病気の進行具合を検査で明らかにすることが先決かと思います。子宮がんには子宮頸がんまたは子宮がんと2つに大別されます。それぞれの治療方針は異なるため、病理検査の結果でまずはどちらであるのかが明らかになってから、主治医からの治療方針を聞いてみてください。焦らず、慌てず、諦めずです。
前立腺癌Stage3Bという事は局所進行がんであり、標準治療としては局所治療(手術または放射線治療)が適応になるステージであると理解しています。しかし複雑なのは不幸にも原発性肺がんを合併されている事です。前立腺がんと肺がんのどちらの病気がより生命予後に直結するのか?を検討する必要があります。すなわち前立腺癌の治療と肺がんの治療どちらを優先するべきかの判断が求められます。現在ビカルタミド(経口ホルモン剤)での治療を行っているとの事でありますが、ホルモン療法の基本は男性ホルモン遮断療法なので、外科的去勢術を受けられていないのであれば、内科的(薬物的)去勢が必須と考えます。またドセタキセルは前立腺癌にも効果が証明されていますが、限局期または局所進行前立腺がんに対する保険承認または効果は証明されておりません。セカンドオピニオンについては、いつでも喜んでお引き受けいたします。病院代表電話にお問い合わせください。
画像検査でのリンパ節転移の有無は、比較的精度が高く診断可能であるとされています。しかし、絶対ではありません。その向上のため新たな診断技術として、Nateraの血中循環DNAなどの開発を現在行っております。乳がんの再発予防を目的として行われる治療内容は、リンパ節転移の有り無し、そして有りの場合にはその個数で決定されます。ショックをお受けであることは共感いたしますが、今後の再発予防のために、ぜひ適切な追加治療を受けていただければと思います。
本ライブシンポジウムとの連動企画として、BS朝日にて「がん治療の現場と企業の取り組みをご紹介する番組」を放映します。 本番組をご視聴の上、ライブシンポジウムにご参加いただくと、 最先端のがん治療について、よりご理解を深めていただけます。
本ライブシンポジウムおよびBS朝日特別番組は、以下の協賛企業のご協力のもと 開催・放映しております。
企業の詳細は、ロゴをクリックして各社のホームページをご覧ください。
Copyright © 2020 CEMIT and tv asahi All rights reserved.